12月の春、白い桜が降る。

結川 陽

ように、会いたい。

私がここで入院してから二ヶ月が経っていた。

毎日が退屈だ。

ようのおかげで彩られた世界は、ようがいなくては無色だ。

私の記憶からはまだようのことは鮮明に残っていた。

今まで行った場所から、そこでした会話。

あの時、ようが初めて好きだって言ってくれて、人生で一番幸せだと、
その時初めて、誰かの為に生きたいと思えた。

私が死んだら、ようは、泣いてくれるのだろうか。

私が死んだらすぐ、新しい恋へと移ってしまうのではないか。

いや、もし本当にそうなったとしても、私は彼を責めないだろう。

だってあんなに愛してくれたから。
だってこんなに愛してくれているから。

もしようが、少しでも悲しんでくれたのなら、それでいい。

ようは、私を忘れて、新しい恋へ進んでも、

その時だけ、私が死んだ時だけ、泣いてくれたのなら___…。
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