12月の春、白い桜が降る。
時刻は八時近くになり、海上花火が始まるとのアナウンスが聞こえてから僕らは穴場に向かった。

彼女とではないが、この祭りには毎年来ていたので、
僕が四年前に見つけた橋の下の穴場に案内した。

橋の上とは違い、目立つことがないので人が極端に少ないのによく見えて、最高の場所のはずだ。

僕も花火を見るのは好きなので、最初の一発目が上げられた時は心臓が少し飛び跳ねたような気がした。

ここの花火は海上で行われるというのもあって、なかなかの見応えがある。

しかし今年ばかりは、すぐ隣で瞳をラムネ玉のように輝かかせる彼女に目を取られてしまっていた。


彼女はとても、綺麗だ。

やっぱり僕は、何度でもそう思う。
< 38 / 210 >

この作品をシェア

pagetop