12月の春、白い桜が降る。
「あなた誰なんですか?」

…わかっていた。
というか、思い出させられた。

本当に、ようは私の記憶がなくなってしまったんだ。

皮肉混じりに覚えてないの?と問いかける。

ようは黙りこくった。私は「やっぱり、そりゃあそうか」と呟いた。

その声が、ように聞こえていたかはわからない。

出そうになる涙を必死にこらえ、

「まぁまぁ!詳しいことはジュースでも飲みながら話しましょうよ!」と、以前の私のように振舞った。
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