やさしくしないで ~なぜか、私。有能な上司に狙われてます~

「んん……」
体を起こそうとすると、節々が痛む。
そろそろ30才になろうという、年齢のせいだけではない。
多分、先輩の上で眠ったせいだ。無理な体勢な上に、ベッドから落とされないように、彼の体にしがみついて寝ていた。

視界が開けて来て、ぼんやりと部屋の中の様子が見える。見覚えのある部屋。
よかった。
ちゃんと自分の家に帰って来てる。

「お早うございます……」
岡先輩と過ごす、今日1日の事を想像するだけで、顔がにやけてくる。
先輩の寝起きの顔が見られるなんて幸せ。
悶え死にしそう。
思わず手を合わせて、拝んでしまうではないか。

「うう……」
ん?
うめき声が全然低い。
やっぱり、いつもと人が変わったみたい。
岡先輩、やっぱり喉やられたのかな?
「大丈夫ですか?」

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