やさしくしないで ~なぜか、私。有能な上司に狙われてます~


「ええっ?」どういうこと?

見事に誰も居なかった。あれだけ大騒ぎしてたのに。

きれいに誰もいなかった。
私たちの荷物だけが取り残されていた。
荷物の上には、メモが乗っかっていた。

――お金は払っておいたから。後は、上手くやりな

水口さんに置いて行かれたのだ。私はようやくそのことを理解した。

先輩を置いて行けず、困ったことになった。
こんな時、普段なら町田課長にすぐ連絡するんだけど。彼は今遠くにいて大事な仕事をしている。
どうにか一人でしなければならない。私は、近くを通りかかった店員さんを捕まえた。
「あの……」
「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております‼」
威勢のいい声がかえってきた。
「あの……いままでここにいた人たちは?」
「お帰りになりました!」やっぱり。
「お帰りにって……何か言ってませんでした?」
「あっ、ご心配なく。お会計は済んでますから」
「いいえ、そのことじゃなくて。2次会はどこでやってるとか」
「いいえ。申し訳ありません」彼はちらっと、入り口の方を見た。
えっと……
「気をつけて、お帰りください」ぺこっと頭を下げられた。
で、この状況どうするの?
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