最近、津ヶ谷さんのことを考えるとドキドキしてどうしようもない。

肩を抱く力強い腕、頭を撫でる優しい手。

それらがいちいち胸をときめかせるから、困る。



涼宮くんに感じるものとはまた違う、ときめきだ。







「あー!!」



とある月曜日の朝、私は自分の部屋で頭を抱えて悲鳴をあげた。



「どうした!?」



その声が家中に聞こえてしまっていたのだろう。駆けつけた津ヶ谷さんが勢いよく戸を開ける。

けれど私は、がっくりと膝をついたまま。



「最悪……涼宮くんの限定フィギュアの予約、昨日までだったのすっかり忘れてた……!!」



絶望的な声を出す私に、津ヶ谷さんは一気に冷ややかな目になった。



「……くだらねー……」

「くだらなくないです!ショックー!」



津ヶ谷さんは、呆れたように言いながら私を置き去りに居間の方向へと向かって行った。



なんという不覚。涼宮くんに関することは忘れたことなんてなかったのに。

私、ちょっと変だ。





「桐島さん、ちょっといいですか?」



そんな大騒ぎな朝を越え、出社してきたオフィスのデスクで事務仕事をしていると、上司である男性社員から声をかけられた。



「どうかされましたか?」



オフィスの入り口から手招きをする主任に呼ばれ、私は席を立ち廊下へ出る。



「急で申し訳ないんですが、明後日の水曜スケジュール空いてます?」

「水曜ですか?特に商談の約束もありませんし、大丈夫ですけど……」

「よかった!じゃあその日だけでいいので、展示会に会場係として参加してもらえませんか?」



主任という立場にもかかわらず、いつも腰の低いいい人と有名な彼は『お願い!』というようにパンっと手を合わせて頭を下げる。