いきなり飛んできた音声(おんじょう)に、

「なんだ、おまえっ、おれたちに向かって……」

男たちの一人が声の主に向かって声を荒げたが、

「……うっ、兵馬(ひょうま)様……」

その(かんばせ)が目に入ったとたん、急に勢いを失う。

「な、なにゆえ、かような(ところ)に松波様が……」

ほかの者も、みるみるうちに血の気の失った顔に変わっていく。


ぎゅーっと目を(つむ)っていた舞ひつるも、ようやく目を開ける。

着流しに袴姿なのは五人の男たちと同じであるゆえ、おそらく吉原に「修行」に来ているお武家の子息であろう。

だが、(かしら)は粋な本多(まげ)にその精悍な面立(おもだ)ちは、(ちまた)では勝手に浮世絵にされるのではないかというほどの鯔背(いなせ)な男ぶりだった。

「てめぇらが多勢に無勢で、見境なく見世の奴らに狼藉を働いてるってのはよ、吉原の方々で噂になっちまってるってのよ」

さように告げて、ぐっと睨みをきかせたその眼力は、(すく)み上がるほどの強さであった。