久しぶりに実家で、夕ご飯の前にテレビを見ていると、玄関が開く音がした。

「おかえりなさい、あなた。」

「うん。」

母親の声掛けに、不器用に答える。

きっと父親に間違いない。


「なんだ、帰ってきてたのか。」

居間に姿を現した父親は、これまた不器用につぶやいた。

「うん。」

私の返事に、父親の勝正(カツマサ)は、うんうんと頷いた。

昔からあんまり、口数の多い父ではなかった。


私の隣に、腰を降ろした父に、母がビールを持ってくる。

「はい、あなた。」

「うん。」

母が何をしても”うん”しか言わない。

泡がたっぷりのビールを、一気に半分まで飲むと、父親は私を見た。

「おまえも飲むか?」