停留所で一休み
第8話 意地悪
実家に戻って来てから私は、何もすることがなく、居間でテレビを見ては、ボーっとして時間を潰した。

仕事をしていた時は、全く考えられなかった時間。

休みの時に限られた時間を、ただなんとなく過ごしていた時は、なんて贅沢な事をしているんだろうと思った。


だが今は、本当にすることがない。

明日もすることがない。

明後日も、その次の日も。

そうなるとこの時間も、ただ苦痛の時間でしかなくなる。


いや、苦痛に思っているならまだいい。

これが当たり前になった時、人間は腐って行くんだと思った。

「ああ~何しよう。」

私が居間で、大の字に寝そべった時だった。

「お姉ちゃん、何やってるの?」

私を覗く、一香(イチカ)の顔が見えた。

「ん~?」

ごろっと、うつ伏せになる。

そこへ突然、私の背中に誰かが乗っかった。

「ぐえっ!!」

私は、思わず反り返った。

「一弥(カズヤ)!!」
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