しあわせ食堂の異世界ご飯3
「はぁ……こんな美味いもの、毎日でも食べたいよ」
「そりゃあ俺も同感だ。最後は玉子が残ってるが……早く食べたくて仕方がないぜ」
 マイクと親方が同時に卵を割ると、鮮やかな黄色が現れた。たったそれだけのことで、食欲が刺激されてしまう。
 この黄身の上におでんの汁をかけて食べたら、それはどれだけ美味いだろうか。
「贅沢品だな、こりゃぁ……」
 玉子と一緒におでんの汁も口へ含むと、ぱさついた黄身の部分にじんわりと染み込んでいく。
 それを一緒に食べることで、この上ない幸福感を体が感じる。
 弾力のある白身の部分と、じんわりおでんの味が生きている黄身の部分。白飯と一緒に食べても美味いんじゃないかと、頭の片隅で考えてしまった。

「ふはぁ……食った。満足だ。でも、もっともっと食べられそうだ」
「それは俺も同感です。このおでんという料理はすごいですね、熱い具材が体の中に入ってきて、容赦なくつま先から頭の先まであったまる」
 ふーっと長い息をはいて、マイクと親方は目を閉じた。おでんの余韻を体全身で楽しんでくれているのだろう。
 どうやら、おでんは大工の人たちにも受け入れてもらえたようだ。
 エマ、カミル、シャルル、リズの四人には朝方食べてもらったときに太鼓判を押してもらっている。
(ということは、つまり……)

 冬季限定ですが、しあわせ食堂でおでん始めます!
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