そう、これはたまたま。別に恋愛とか関係ない。
 仕事として、観察しているだけ。と言い聞かせながら壮大なクリスマスツリーを眺めていた。
 総支配人の突然の告白から一週間が経った。あの時は度肝を抜いたけれど、私たちの間にさして何か変わったところはない。ないだけに怖い。だって、しらっとした顔で私のこといきなり好きとか言い出す人だし!今も全然涼しい顔して私の隣に立ってるし!全然甘い口説きもないし、いや、あっても困るんだけど!
 という感じで私だけが終始ビクついている状況なのだ。恋愛初心者どころか、脱落者の私にとって爆弾がすぐ傍にいるようなもの。
 だけど、拒絶できないんだよね。
 直属の上司だからというのもあるけど、何より総支配人を前にすると、強く拒否できないのだ。仕事のことやお金のことなら引き下がらなかった私が、恋愛のことになるとタジタジになって、右往左往。アラサー女が情けない。
 ため息を吐きそうになった瞬間、総支配人がこちらを向くものだから吐きかけた息が器官に入った。
「ごっほ!」
「大丈夫ですか?風邪?」
「い、いえ、っこほ!」
 心配そうに顔を覗き込まれると余計に咳き込む。数センチ先に迫った美顔は喉というより心臓に悪い。