翌週、私はあの腕の主に会いに真駒内に行く。あの時渡された名刺のとおりに訪ねて行った先は、小さく静かな木立の中にあるひとつの工房だった。
 私は少しの間、そこに続く小道の入り口で立っていた。行っていいのか、行きたいのかの少しの戸惑いは、でも、あの時の腕の確かさを前にすぐに消えてしまう。私は息を詰めてその入り口のドアを開ける。

 一人の大きな若い男の背がそこにはあった。振り返ったその男は、まるで私が来ることがわかっていたように静かに微笑んで、あの時と同じの、温かく優しく、そして透きとおった眼差しで私を包んでくれた。

 これが私と葉室誠との出会いだ。