敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~
1章 秘書のオシゴト
秘書ってなんかカッコいい。

いかにも出来る女、そんな感じ。
お洒落で綺麗で頭が良くて。
運が良ければ玉の輿に乗ったり。
運が悪ければ愛人にされちゃったり?
とにかく秘書になれたら確実に幸せな日々が待っている、そう思ってたのに。


「七海ちゃんってさ、作り笑いし過ぎ。ベッドでも演技してるのバレバレだし。あれ、かなり萎えるんだよね」

「えっ……」

「でさ、ちょっと思ってた感じと違うかなって。Agresで秘書やってるって聞いてたから期待しすぎた俺も悪いんだけど。なんか合わないし別れたいんだよね」


期待しすぎたって何。
少し天然なところが可愛いって言ってくれたのはやっぱりお世辞だったのか。

というかこの人デートで経済理論とか、今後の先行きとか、知識のひけらかしか何か知らないけど、つまんない話ばっかりしてたな。
まあ確かにそんな話の相手に私じゃ不足だったと思うけど。
そういう話が出来る子が好きなら私には無理だ。

というわけで、3週間前合コンで出会ってトントン拍子に付き合うことになった彼にたった今フラれた私、神田七海。
大手企業Agresの花形とされる秘書室勤務。
セミロングの万人受けしそうな緩い巻き髪、秘書っぽいエレガント系のスーツに身を包む、顔はまあまあ、スタイルもまあまあ、頭は少し弱いかも、という自己評価の秘書歴3年の26歳。

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