太郎サンと花子サンの秘密
太郎サンと花子サン





「はろー、花子サン」


『はろー、太郎サン』



互いに片手を上げ、ニコリとも笑わず、死んだ顔をして砂浜に座る。

波の音だけが響く中、2人だけの砂浜でトンネルを作るという、なんとも言えぬ光景。

しかも、真顔で黙々と作っている。




「花子サン、そろそろ開通」


『り。開通シマース』




せーの、と同時に腕を突き抜けさせる。

おっと。崩れてしまったな。HAHAHA。

……あの、太郎サン?そんな人殺しそうな目で見ないでくれますか。




「はい、クビー。もう1回幼稚園からやり直してくださーい」


『ばぶー』


「赤ちゃんやんけ。ふざけんな」




トンネルになる予定だった砂の山をかけられ、服が砂まみれになった。

仕返しにと、犬も尻尾まいて逃げるレベルの砂かけ攻撃を太郎サンにおみまいする。


そこから繰り広げられる攻防戦。

服が汚れただけの無駄な戦いだった。








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