星空電車、恋電車
私は公園から出るのをやめすぐ脇に集まっていた輪のさらに向こう側にある中央近くの望遠鏡の大きな輪の奥に混じり込んだ。

そして何人かの大きな身体の男性がいる男女のグループの陰に入って身を隠すようにしながら俯き巻いていたストールを素早く外す。これで服装の目立つところは無くなったはず。

そうして俯きながら様子を窺っていると、人々の身体の間から樹先輩が公園出口に向かって走っていくのがチラッと見えた。


ーーーとりあえず回避できたかもしれない。

心臓は爆発しそうにバクバクとしているし、呼吸が苦しい。
ホッとした瞬間にじわっと涙が込み上げてきた。

マズい、人ごみの中でも何度も鼻水をすすっていたら周りの人の迷惑になってしまうし、何より盾に使った男性グループの人たちに不審がられてしまう。

慌ててマスクをすると鼻をすするのを我慢してもう一段階ライトが落とされ周囲が暗くなるのを待った。
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