星空電車、恋電車
心臓は相変わらず大きく跳ねている。
息を整えこれからどうしようかと一生懸命頭を働かせてみる。

このまま駅に向かえば戻ってくる樹先輩と出会ってしまうかもしれない。
じゃあこれが終わるまでここに居たらいいのか。大勢の中に混じって駅に向かえばいいのかもしれないけれど、その時には照明が煌々と辺りを照らしているだろう。
樹先輩がまだ私を探していたとしたら、発見されてしまう可能性が否定できない。

しばらく考えていると、
「ではライトダウンしまーす!身の回りのお手荷物や迷子にご注意ください」
の声と同時に辺りは更に暗くなった。

暗闇に紛れてしばらくこのままここに居るしかない。

そうして開始から20分ほど経過した頃戻ってきた樹先輩の姿を遠目に確認した。
今まで私を探していたんだろうか。

樹先輩は同じグループのメンバーに頭を下げ謝りながら仕事に戻った。
私は泣き出しそうになるのを必死でこらえてそっと立ち上がり、公園の出口を目指し暗闇の中、目立たないようにひっそりと駅に向かったのだった。

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