星空電車、恋電車

告白のとき

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私と樹先輩が付き合い始めたのは3か月前のこと。

樹先輩に恋をしていたのはもっと前。
中学から陸上部だった私は入学前の春休みに部活見学を勧められてから高校の部活に見学に行ったのだった。
その時に練習する樹先輩に目を奪われ、一目ぼれして以来1年近く恋心を温めていたのだ。


付き合うことになったきっかけは今年の陸上部恒例になっている春合宿だった。
合宿の最後の日、唯一の夜の自由時間にこと座流星群を見るためにほとんどの部員が校庭に集まっていた。

夜更けの天体観測に気分が高揚した京平先輩たち男子部員が夜間照明が消され常夜灯だけになったグラウンドに向かって駆け出していく。

「ひゃっほーう」
「いぇーい」

うちの学校はかなり敷地が広く住宅地からも離れている。隣には大きな公園もあるのでかなりのバカ騒ぎをしなければその先にある民家には騒音の迷惑などかからない。

テンションが上がった高校生男子のじゃれ合う声と女子高生の笑い声がするものの顧問の先生にに注意される心配はなさそうだ。
それにきついトレーニングから解放された最終日の夜くらいちょっとした騒ぎも見逃してくれるはず。
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