5人の王子とお姫様!

ただ、嬉しくて、泣きたくて




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夢を見ていた。


ずっとずっと抜け出そうとしても抜け出せない、深い夢。




『いつもいいもん食ってんだろ。たまにはゲテモノ食いでもしてみろよ』


床に転がった給食。


ぶちまけられたスープの中には、見ているだけでえずきそうになるくらい、大量の虫が浮かんでいる。



『あっはははは!!やっだあ!あたしだったら絶対ムリ〜』


『良かったな、貴重な体験だぜ?』


クラス中から汚い笑い声が湧く教室の中で、一際私を嘲笑う声を頭上に感じる。


ぐっと頭を掴まれて、床に顔を押し付けられる。



抵抗する気もない私の視界に映ったのは、無理やり作ったような笑みを貼り付けた絵茉の姿。


教室の空気に呑まれたのか、慶太たちに合わせているのか、はたまた本当に私を嘲っているのか。


分からないけど、私には本人に面と向かって聞けるほどの勇気はなかった。


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