プレゼンテーションの日が近づくにつれ、仕事もどんどん忙しくなった。


さらには『元々の企画を出したあなたが当日プレゼンするのは当然でしょう』と如月さんに言われ衝撃を受けたのはつい最近だ。

大役を任せてもらえるのはとても嬉しいし、素晴らしい経験になるのもわかるがやはり緊張は隠しきれない。


そのせいかここ最近はなかなか寝付けずにいる。

さらには如月さんの存在が私の胸に重くのしかかっている。


そんな慌ただしく余裕のない毎日を送っていた、九月半ばの金曜日の夜。

珍しく采斗さんが早めに帰宅した。


久しぶりにふたりで夕食をとり、片付けと入浴を済ませた後、ソファに座り込んでいた私に夫が近づいてきた。


「最近無理をしすぎてないか?」

「どうしたの、急に?」

「ここ、クマができてる」

スッと長い指が私の目の下に触れる。

突然の近い距離に焦ってしまう。


「仕事に熱心なのはいいが、無理をするな。ひとりで背負い込んで抱え込む必要はない。お前ならやり遂げられると俺は信じている。けれどそれで身体を壊したら意味がないだろう? もう少し力を抜いて、もっと周囲を頼ればいい」

口調は仕事の時のように厳しいのに、眼差しはとても優しい。

夫の思いやりに胸がいっぱいになった。


多忙な毎日の中で私を見てくれていたの? 

気づいてくれていたの?


心の奥底から言葉にならない熱い想いが込み上げる。