【短完】奇跡が降るなら、時の音を止めたいと思った。
奇跡が降るのなら

雛里の恋心

【今から、遊べる?ひぃに会いたい】

ただいまの時刻、9時。


1か月前に別れた元彼からLINEが来た。

相手は私よりも1つ年下で、笑顔が可愛いのに身長が私よりも30センチ近く高かった。名前は初羅(そら)。

1か月前…まぁ、振られたわけだけど。その時は本当に悲しくて沢山泣いたりもした。それなのに、何だこの呆気ないLINEは。

なんて心の中で思いつつも、未だに何のかんの忘れられなくて。

メッセージを確認した瞬間に口角が痛いくらいに持ち上がって、胸がドキン、としたのは気が付かないふりをした。

今日は1日ゆっくりと過ごそうかという名目のこと、暇だったから直ぐにOKした。

【いいよ、どこ?】

シュポっと軽快な音がして私の考えた言葉が送られていく。

きっと、ニマニマした私の顔とメッセージの淡々とした台詞のミスマッチ感が第三者から見れば異様だろう。

ああ、相手に顔が見られなくて良かった。

【10時に俺の家の近くの公園で】

初羅と私の家は比較的に近くて中学校も同じだった。

告白してきてくれたのは初羅だ。中学校の時に一目惚れをしたと言ってくれた。

【分かった】

その一言を送って着替え始める。

そうだな…、遊ぶならズボンの方がいいだろうか、なんて思いながら服をチョイスして行く。

9:30になったのを確認して家を出た。

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