誇り高きZERO.
貴方達の仕事

「この遺体には不可解な点があります。ひとつはこのサイズの合っていないつけ爪。ふたつ目はこの首の痕。皆さん警察官なら見たことだってあるでしょう?首吊り自殺を図った遺体の首を。この痕、それにそっくりだと思いません?」
「自殺……?」
「第一、可笑しいでしょう?この痕を付けるには被害者の首に紐を通して、後ろ側から紐を引っ張る。現場は外だから吊るすものはないので、被害者を座らせるかしないとですね。ある程度の高低差がないとこんな風な痕にはなりません」
「それの何が可笑しいっていうんだ?」
「どうして大人しく座ったんですか?爪に皮膚が付着するぐらい抵抗していたのに」
「気を失ったんじゃないか?」
「どうやって?スタンガンはなし。傷が見つかってない。じゃあ、薬品?いいえ、それもなし。検死結果を皆さんはご存じでしょう。じゃあ力技で?それもどうでしょうか。粟田さんは過去に柔道や空手などの武闘系の習い事などはしてないでしょう?一般人が何も使わずに大人ひとりの意識を奪うなんて芸当、本気で出来るとでも?」
「それは……」
「じゃあ、粟田が犯人じゃないなら誰が犯人だっていうんだ!!」
 泉は呆れた目で食って掛かる男を見る。

「それを見つけるのが貴方達の仕事でしょう?」
< 4 / 11 >

この作品をシェア

pagetop