誇り高きZERO.
人材

「清水さん、ご飯連れてってよ」
「……神童、ヒントを出し過ぎだ」
「だって、お腹すいたんだもん。早く切り上げたくって」
 元居た部屋に戻った神童と竜ヶ崎。清水はマジックミラーから視線を外さない。
「どうだった?」
「んー、未熟ですね。まだまだです。警察官が主人公じゃない系のドラマでよくいるタイプ。あの、警察だからって権力を振りかざす、あぁゆう嫌なタイプのやつ。あぁ、でもあの松島って子は見込みがあるかも。目の付け所は悪くない。でも、少し人の感情に敏感で影響を受けやすい。だから、組むメンバーさえ考えれば将来化けるでしょうね」
「そうか。それで、お前の手足に成り得る人材はいたか?」
 清水がここで初めて神童に視線を向けた。一方、神童はミラー越しに彼らを見つめながら口を開いた。
「そうですね。松島君は懐けば僕のために頑張ってくれるでしょうね。きっと自分の命を投げ打ってでも僕の命令を完遂する。………だから、いらない。今回はなしで。やっぱり僕の部下は竜ヶ崎にしか無理ですよ」
「そうか、分かった。もう行っていいぞ」
「えぇ?!ご飯は??」
「今から上層部との会議だ。終わる時間は分からんが、その後でいいなら。なんなら、お前も会議に出るか?」
「嫌です!!竜ヶ崎、行くぞ。仕方ないから、今日は僕が腕によりをかけて旨い飯を作ってやろう。ほら、行くぞ。早く!!」
 神童は逃げるように、竜ヶ崎を引き摺り部屋を後にした。
 その後ろ姿を、清水は見ようによっては愛おしげに……、いや、やはり無表情のまま見送ったのだった。
< 8 / 11 >

この作品をシェア

pagetop