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ちらりと頭の片隅に残るイメージは、ファーストキスの記憶。
柔らかくて温かくて、少し乾いてて……でも何度も啄まれると湿ってくる。

あれから、何度かキスをした。
朝、家を出る前と、夜はリビングでふたりで過ごしている時に、いつの間にか日課のようになった。そのキスは、少しずつ深くなっている。

初めて舌で唇を舐められた時は、びっくりして体が跳ねた。いくら未経験だとて、舌を絡めるキスがあることくらいは勿論知っていたけれど、実際に経験するのとでは訳が違った。本当にびっくりしてしまい私はかなり間抜けな顔で呆然としていたと思う。
その時は、郁人は唇で微かに笑みを作りすぐに離れたけれど、それからはまるで悪戯でもするように、キスの時は必ず私の唇を舐めていく。

そして、今。
就寝前にリビングのソファーで、私はいつものように本に夢中になっていた。何度か呼び掛けても反応がなかったらしい。とんとん、と肩をつつかれて顔を上げると、もうすぐ目の前に郁人の顔があって驚いた。