イジワル御曹司と契約妻のかりそめ新婚生活
私が佐々木さんに送ったメッセージに既読が付いたのは、深夜遅くになってからだったようで、零時を回った頃になって『わかった』とひとことだけの返事があった。
これが、婚約して最初の私たちのメッセージのやりとりである。


親しみゼロもいいところだ、と思ったが、結婚するには色々と準備もあるし話をしなければいけないこともある。それらを進めるうちに、お互い人となりも見えてくるだろうし、結婚式をしないなら直前になって破談になってもそれほど騒ぎにはならないだろう。
それまでに結論を出せばいいだけだ。


……と、思ったのだが、甘かった。
私は、佐々木郁人という人間を甘く見ていた。


彼は、稀に見るワーカホリックで、一度仕事となるとそれ以外のことは本当にどうでもいいらしい。
もしも私に親しい友人がいたら、きっとそんなばかみたいな結婚は辞めておけと忠告が来ただろう。だが、女友達の群れに慣れることが出来ず、ひとりを満喫してきた私には、残念ながらそんな親切な友人はいなかった。


他人との接触に不慣れな私と、仕事だけが恋人の彼。
ある意味運命の出会いだったのかもしれないが。


結婚へのカウントダウンは、ある日いきなり、十から零へと飛び級してしまったのである。


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