チャラ王子に捕まりました。

はじめまして水無月くん



春も終わりに近づき、徐々に夏へと変わっていく…


季節は7月。



2年のクラス替えがありながらも仲良しグループもすでに固まり、放課後の教室ではこの後どこに行こうかという会話で賑わっている。



しかし私は、そんな友達すらいない。



腰まである髪の毛はいつも下ろし、視力はそんなに悪くないのに、顔を何かで隠してないと落ち着かないためメガネを身につけている。



いわゆる地味という容姿に、不運にも人見知りもプラスされている。



どうやら神様は人に平等を与えてくれないらしい。



はぁ…、今日どうしよう。



家の鍵を忘れてしまったため、お母さんが帰ってくるまでどこかで時間を潰さなきゃ行けないのに。



1人で喫茶店に入る勇気もなく、思いついた先はピアノのレッスン室。



ピアノの授業時間外は貸出自由になっているが勇気が出せず、なかなかレッスン室を借りようとすることが出来なかった。




< 8 / 48 >

この作品をシェア

pagetop