忘れられないひと【完結】

今の想い




「浮気なんてしてないって、言えば良かっただろ?
別れたくないってちゃんと話せば………
紗也ちゃんだって恭介が浮気なんてしないって解ってて、なんで………」


なんで………か
ちくっと胸が痛む
あの時の紗也の涙も、涙に濡れた笑顔も忘れたことない



「恭介はさ、紗也ちゃんのこと今でも好きなのか?」

「………」



"好き"なんて軽いものじゃない
ずっと、忘れるなんて出来なかった
付き合っているときからそうだ
困った顔も、俺に抱かれてる時の女の顔も
怒った顔でさえも愛しくて仕方がなかった


愛してる


卓也の言うようにニューヨークでは女性からの誘いが無かった訳じゃない
あからさまに誘ってくることもあった

でも、俺の心も体も紗也しか求めてないんだ
早く日本に帰ってきたかった
早く帰って、紗也に会いたかった


その為に、ニューヨークではがむしゃらに働いた
それが功を奏して一年で戻れた
俺はもう一度紗也に会いたい
そして、伝えたい


「あの時、結婚するなら紗也しかいないって思ってた
いや、もうずっと紗也しか考えてなかったよ
ニューヨークにも着いてきて欲しかった」

「恭介……」

「今でも好きだよ
今でも一年前と何も変わらない」


寧ろ、会えなかった分想いが加速している
俺がそう言うと卓也は困ったように顔を顰めた


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