「えっ? どうして?」


 よく考えれば、彼が一緒にタクシーを降りた事事態おかしな事だった。


「自分の家の方が、面倒見るのに都合がいいですから」

 彼は、さらりと言って、私の腰を支えるように歩きだした。

 いやいや、そう言う事じゃないし……


 でも、寒気と力の入らない体は、彼に促されるままマンションのエレベーターに乗ってしまった。


「ごめんなさい…… 少し休ませてもらったら帰るから……」

 力の入らない声をなんとか口にする。

 彼は、また、じろっと私を睨んだ。
 睨むくらいならほっといてくれればいいのにと思ってしまう。

 それにしても綺麗な目だなと朦朧とした意識の中で思った。


 彼が、片手で器用にオートロックのボタンを押すと、玄関のドアが開いた。そのまま崩れてしまいそうな体を支えられ、ハイヒールを脱ぐ。


 頭の中では分かっている。
 このまま彼のマンションに上がってはいけない事ぐらい。でも体は言う事を効かず、彼に支えられ体を倒したのは、寝室のベッド上だった。