海軍提督閣下は男装令嬢にメロメロです!
まばゆいばかりのエレンの姿は、誰に訪ねずとも、すぐに見つかった。
エレンは薄汚い男に腕を取られ、半ば覆いかぶさられるような格好になっていた。
「あの馬鹿っ!」
目にした瞬間には、声を張っていた。
俺がひと睨みすれば、港のゴロツキは蛇に睨まれた蛙のようになって、早々に退散した。
エレンが無事に見つかったのだから、これでなんの問題もないはずだった。けれどなぜか、俺の怒りはおさまらなかった。
胸の中で、もやもや、ムカムカとした思いが渦巻いていた。
そんな俺を、エレンがチラリと上目遣いに見上げてきた。
その瞬間、ブワッとした熱が全身を巡り、顔がのぼせたかのように熱くなった。気づいたときには、エレンを肩に担ぎ上げていた。