パーティーを始める前に母が希望した記念撮影に付き合い、義父は白髭を外し、私と司さんは眼鏡と赤鼻を外して素顔になった。
司さんは、そそくさと着替えようとしたけれど……。


「せっかくだから、そのままで楽しませて」と、母がもう一つお願いした。


司さんは激しく嫌がったけど、義父に「楽しませてくれるんだろう?」と耳打ちされて、ぐっと言葉に詰まる。
屈辱に満ちた、どこか恨みがましい目で義父をぎろりと睨んだものの、あっさりと背を向けられて、お腹の底から深い溜め息をついた。


司さんは半分ヤケといった様子だったけど、私たち三人はコスプレのままダイニングテーブルに着いた。
シャンパンで乾杯をして食事を進めるうちに、彼もいくらか開き直ったようだ。


それと並行するように、最初はちょっと気まずそうに、ぎこちなかった母も緊張を解した。
司さんにコスプレ衣装のことで、テーブル越しに少し身を乗り出して、質問を始める。


「司さんが買ってきたの? どんな顔してレジに並んだのか、見てみたかったわ」

「……マスクと眼鏡で顔を隠しましたよ。まあ、レジの店員は遠慮なくギョッとしてくれて、笑いを堪えている様子でしたが」


一杯目のシャンパンを飲み干し、義父に二杯目を注いでもらっている司さんの頬は、ほんのりと赤く染まっている。