好きって言わせたい〜恋に臆病な彼が本気になったら、溺愛がとまりません〜

爽やかなイケメンがオオカミだった


借りた服を返しに行ったあの日、私の傷ついた心を少しだけ救ってくれた彼から、名刺をもらうなんて思ってもいなかった。

この名刺に、どんな意味があるのだろう?

ちょっと前の私なら、勘違いしてあのカフェに通い詰めていただろう。

そうしないのは、やはり元彼からの『重い女』発言が、前に進めない理由で、結構、引きずっている。

引きずっていると言っても、元彼に未練があるわけじゃなくて、自覚していなかった私には、こたえたのだ。

だから、つい新しい恋を進めるには慎重になってしまう。

名刺を見ながら悩んでいると、ヒョイと視界から名刺が消えた。

「へー、神崎 透 cafe[lodge]のオーナーね」

「ちょっと、返してよ」

「お姉ちゃんの新しい彼氏候補?」

「そんなわけないでしょ…返しなさいよ」

妹から奪い返した名刺が、くしゃくしゃになってしまった。

「あっ、ごめん」

謝っている妹をキッと睨んでしまった。

「本当、ごめんって…怒んないでよ。お詫びに私、その人の情報集めるからさ、許してよ」

そう言う妹は、私の7つ下の高校3年生だった。

「悠梨、情報集めて」

頼んでから、1時間もしないうちに神崎さんの情報が集まった。
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