人生はなにが起こるかわからない。
よく耳にするフレーズが自分の身の上に起きようとは。
職も家も失った自分が、雲の上のようなハイレベルな場所にいることが不思議でならない。


「優花、おはよう」


片瀬に後ろから抱きしめられ、優花の後頭部にキスが落とされる。
キッチンで味噌汁の味見中だった優花は驚いて肩を弾ませ、喉の奥がひゅうと鳴った。その拍子に小皿から味噌汁が優花の手にこぼれる。


「熱っ!」
「ごめん、驚かせちゃったね。大丈夫?」


慌てて優花の手をとった片瀬が、蛇口から勢いよく出した水で慌てて冷やす。


「……うん、大丈夫」


優花が片瀬のマンションに同居するようになって四日が経過。家賃を払わない代わりに、せめて食事の準備くらいは、と優花はかって出ていた。

とはいっても、いろいろと付き合いの多い片瀬は夕食時に帰ることはあまりなく、今のところ朝食の準備だけに留まっている。

片瀬の言動は、最初に彼が宣言した通りだ。
優花をまるで恋人のように扱っている。