クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
第十章 命がけの救出
ふわふわとした意識が、夢と現実の狭間を行き来している。なにか柔らかいものに全身を包まれて、前にもこんなことがあったとアンナは懐かしさを覚えた。

(ここは、きっとジーク様のお部屋……? 私、戻って来られたのね)

(ジーク様が私を助けに来てくれたんだわ……)

夢見心地でほっと胸を撫で下ろすと、徐々に意識が鮮明になってくる。
うっすらと目を開けると、布団をかけられ大きなベッドに寝かされていた。

(ここは……ジーク様のお部屋、じゃない……?)

見慣れない壁が見えて、アンナは不安に身を縮こませる。すると、なにやら話し声が聞こえてきた。

「そうねぇ、これじゃ少し地味だわ。もっとレースをふんだんに使ったドレスにして」

(近くに誰かいるわ……誰かしら)

アンナは固唾を飲んで聞こえてくる会話に耳を傾けた。

「こっちのドレスのほうが似合いそうだわ。ふふ、あの子が目を覚ましたらすぐに着替えさせて」

聴覚を研ぎ澄まし、耳にしたその声にアンナは絶望した。

(あの声は、ベアトリクス様だわ……じゃあ、ここはどこなの?)
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