教室内には相変わらずの緊張と絶望、恐怖が混在し、その中心では異形の何かと化した沢渡祐実が独裁者のように振る舞い続ける。


 次々に不可解な立場に置かれ、異常なことが起きるたびに生徒たちの頭も混乱を増す中で次第に麻痺し、目の前で血を流して横たわる奥村光里の姿ですら、実際にはそんなに時間は経っていないのに、まるで随分と前に起こったことのような見慣れた感覚へと陥らせる。


 そんな中でも生徒たちはどうすることも出来ず、ただ沢渡祐実の方を見ながら次は何が起きるのかと震え、怯え、誰か誰でも良いからこの状況を打破してくれないかと、他人任せでその機会を窺っていた。


 すると、教室内を動き回っていた沢渡祐実が何かを気にするように足を止め、床に落ちていたそれを拾い上げた。


 それは、10万円は余裕で超える高級ブランドの化粧ポーチであった。


 黒いワニ革の素材に前面にはブランドのロゴが大きく型押しされた、高校生が持つにしては些か不釣り合いな物であった。



  

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