ネェ、オレヲアイシテ?Ⅲ~Promise or Secrets~



 秋、病院の廊下の窓からは、紅葉の生えた樹が元気よく顔を出していた。弟の妖斗や翼咲は、一週間程前に二学期の始業式を終えて、朔乃や真凛と共に、四人で仲良く学校生活を送っているようだ。

「……兄さん、本当に体は大丈夫なのか?」

 病院を出たところで急に足を止めて、心配そうに光輝は言った。

「……平気だよ。今日はただの検診だったし、何の心配もないって。俺はずっと寝たきりだったから、その分念入りに気にかけられてるだけだよ。空我先生心配性だから」

 軽口を叩くように、俺は言った。


「本当にそれだけか?昔妖斗が朔乃に言ってたよ。……兄さんが無理してるって。今も少しくらいは、無理してんじゃないのか?」


「……してないよ無理なんて」

 目じりを下げて笑いながら、俺は少し背伸びをして、光輝の頭を撫でた。


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