ネェ、オレヲアイシテ?Ⅲ~Promise or Secrets~


「……泣くなよ。俺なら、平気だから」

 俺の涙を拭いながら、紅葉さんは言った。


「平気なわけないじゃないですか!だって、俺を逃がしたのがバレたら、紅葉さんは……」


「あぁ、クビだろうな。でもまぁ、大丈夫だよ。まだ金残ってるし、バイトとかするから。高校からホストやってる奴雇ってくれるとこなんて、あんまないかもしんねーけど」


「それが分かってて、何でこんなことするんですか!」

 悲鳴のような声を上げて、俺は言った。

「……それはさっき説明しただろ。俺のことはいいから、もう戻れよ。……あんまり遅いと、美桜に気付かれる」

「でっ、でもっ!!」

 哀しかった。

 自分の問題が、紅葉さんがくれるそのカード一つで、解決してしまうことが。


 500万なんて、兄さんの治療費には十分な金だ。


 でも、だからって今言う通りにしたら、紅葉さんがひどい目に遭う。


 その状況を打破する術がないのが、どうしようもなく哀しかった。


 
 
 
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