そばにいさせて~クールなあなたとのセカンドストーリー⭐番外編追加⭐
2.GMと女の敵
2.GMと女の敵


「お待たせ致しました。どうぞこちらへ」

そう言って私達二人の前に現れた女性。

現れた途端に広がる甘いフローラルの香り。

彼女の首からかけられた名札には『ハピーオフィス GM秘書 山村 咲』と書かれてあった。

女性らしいウェーブをなびかせたつやつやの焦げ茶色の髪は腰まである。

少しきつめのブルーのアイシャドウに妙にぽってりと赤い口紅が印象的だった。

化粧は少し濃い目だと感じるも、容姿はとても美しく思わず同性ながら目を奪われる。

真知さんが私の耳元で「あの人が噂のGM専属秘書さんよ」とささやいた。

噂って、どんな噂?ってひっかかるも緊張して歩く真知さんの少し後ろを着いて歩く。

目の前に『GM ROOM』と書かれた黒く光る扉が現れ、秘書の山村さんは軽やかにその扉をノックした。

「はい」

扉の向こうに低音の声が聞こえた。

真知さんは私の腕を自分の肘でつつく。

ただの声だけじゃないと笑いを堪えながら、山村さんが開いた扉の前で真知さんと頭を下げた。

頭をゆっくりと上げ、GM室の中に目を向けると思わずその部屋に足を踏み入れることをためらってしまうくらいのオーラを放った男性がこちらに顔を向けて立っていた。

真知さんから聞いていたとおり長身の彼は仕立てのいいスーツをびしっと着こなし、無表情のまま軽く会釈をする。

無表情でありながらその品のいい佇まいと整った顔立ちは、まさに一般人ではあり得ないほどの美しさだった。

こんなきれいな男性見たことがない。

思わず彼から目を離すことができなくなり、その場で固まったままごくりと唾を飲み込んだ。
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