独占欲強めな同期の極甘な求愛

「俺真剣なんだけどなー」
「全然そうは聞こえませんけど」
「みんなそうやって同じこと言うんだよなー。告白しても口説いても、誰も信じてくれない」

どうしてだろうと、真剣な顔つきで悩んでいる。きっと口調が軽いからだと思う……と喉の元まで出かかったけどやめておいた。

だけど三井さんが彼氏だったら大事にしてもらえるのかもしれない。裏表がなくて、意外とハートが温かい人。仕事をさぼるのはダメだけど、そういうところを抜いて考えれば、ハイスペックな彼氏になりうる。
なんて、本人目の前にあらぬ想像をしてしまった。

「ねぇ、白鳥ちゃん。都倉くんを見返してやろうよ」
「え? どうやってですか?」
「そんなの簡単だよ」

三井さんは得意げに言って、その方法を私に吹き込んできた。そしてその直後、私の背後を指さした。

「ほら見て。楪くるみも言ってるよ?」

そう言われ振り返れば、我社のジュースのCMのポスターが貼ってあった。ポスターの彼女はジュース片手に笑っていて、その笑顔を前に、公開対談で彼女が最後に言ったあのセリフがやけに心に残ったことを思い出した。胸に突き刺さったような衝撃が走ったんだ。

"一歩、踏み出してみない?”

4月から新しい環境に身を置くことになる新社会人や、子どもたちへ向けたメッセージ。ジュースは桜味ということもあって、そういうコンセプトの元、企画されたと臣が言っていた。

私にも突き刺さるものがあったのは、きっと臣への思いを前進させたかったから。踏ん切りをつけたかったから。

「三井さん」
「ん?」
「私、踏み出してみます」

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