「は? え? 俺?」

目を丸くして自分を指さす。面食らったような臣に私はコクコクと全力で頷く。

「だってお前、前に俺のことなんて好きじゃないって言ってだろ?」

え? そんなこと言っただろうか? 記憶を遡らせていると、苛立ったように臣が口を開いた。

「ほら、お前が書類ばらまいたとき、三井さんにそう言ってたじゃん」

そこまで聞いてやっと理解した。そうだ。あの時は三井さんに隠すために必死で、臣がいるにも関わらずそう叫んでしまったんだ。やっぱりあの時聞こえていたんだ。

「だから俺はずっと恋愛対象じゃないと思ってた。美麗にとって俺はただの幼馴染なんだって」

切なげに目を伏せそう言う。その横顔にピンとくるものがあった。

いつかごはんを食べに来たとき、臣の様子が変だった時があった。俺たちはただの幼馴染だよなって突然聞いてきて、その時はどうしたんだろうって不思議に思っていた。もしかして私の気持ちを聞き出そうとしてた? ただの幼馴染だって言われた臣は、落ち込んだりしたのだろうか?