独占欲強めな同期の極甘な求愛
棚からぼた餅で


「花が笑うって書いて、えみって読むんだって。えみちゃんにぴったりだよなぁ」

翌週の水曜日。スマホ片手に私が作った炊き込みご飯を頬張ると、陶酔したように言う臣。

恐らく、ここ最近何度も打ち合わせをしてるあの子のことを言っているんだろう。確かに笑顔は可愛いし、花がある。名は体を表すとは彼女のような人のことをいうんだろうと頭では納得していながらも、口は皮肉を発してしまう。

「それ当て字だよね、絶対読めない」

自分の声を耳にして、つくづく可愛げがないことを痛感する。同調してあげればいいんのだろうけど、悔しさ余ってそんな言葉しか出てこない。ましてや自分に名前コンプレックスがあるからなおさらかもしれない。

「いまどき珍しくないだろ」
「……そうだけど」
「親御さんが花が大好きで、その中で笑ってほしいって思いでつけられたんだって。昨日言ってた」

嬉しそうに教えてくれるけど、そんな情報全然いらない。知りたくない。私はいつもみたいに他愛もない話をしたいだけなのに。

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