独占欲強めな同期の極甘な求愛


「嘘! これ三井さんですか?」
「そうだよ。確かこのとき80キロくらいあったかなー。みんなに毎日馬鹿にされて、悔しくてダイエット頑張ったんだ」

そうなんだ。チャラチャラして、なんの苦労も知らない人だとばかり思い込んでいた。この会社に入ったのも縁故採用だって聞いていたし。

「すごいですね、三井さん。カッコいいです」

視線だけ上げそう言うと、三井さんがグリグリとこねるように私の頭を撫でた。

「い、痛いです、何するんですか」
「なんか白鳥さんのイメージ変わったなー」

……え?

「俺のこと、好きでいてもいいよ。許可しよう」
「え? あぁ……」

そういう設定だったことをすっかり忘れていた。

「俺が落ちるか落ちないかは白鳥さん次第だけど、まだ何もしていないのに卒業を考えるのは早いんじゃない?」

好き勝手そう言って三井さんは口元に綺麗な弧を描いて笑った。

なんだかとことん不思議な人だ。だけど私も三井さんに対してイメージが変わった。

“人は努力次第でいくらでも変われる”か。
こんな私でも努力すれば綺麗になれたりするのだろうか?今まで容姿に対してなんの努力もしたことのない私が。

だけど自分の気持ちが少しずつ変化していることを、この時わずかに感じていた。

< 43 / 138 >

この作品をシェア

pagetop