うそつきペン
手に入れる
「ちょっと、いつまで床掃除してるの?」


呆れた声が頭上から降り注ぎ、あたしは雑巾を持った手を止めて見上げた。


そこにいたのは同じクラスの浅見春子だ。


春子は大きな目を細め、手を腰に当ててあたしを見下ろしている。


「机戻したいんだけど、早くしてくれない?」


その言葉にあたしは周囲を見回した。


みんな床掃除を終えて、机を元の場所に戻すためにあたしを待っていたようだ。


あたしは慌てて立ち上がり「ご、ごめん」と、小さな声で謝った。


春子は呆れたようなため息を吐き出し、そのまま机を運び始めてしまった。


あたしは邪魔にならないよう、教室の外へ出て水道で雑巾を洗った。
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