エメラルドの祝福~願えよ、さらば叶えられん~
深窓の王太子の花嫁選び
* * *

「やあ、よく来たね」

アシュリー伯爵邸の入り口に馬車が止まって、従者が扉を開ける。すると迎えに出てくれていたヒューゴが手を差し伸べてくれていた。
すまして下りてくるのはベリルの顔をしたシンディだ。首にはエメラルドのネックレスを付けている。
見た目こそベリルだが、中身はシンディだと分かってもらうためだ。

しかしヒューゴは目を細めてシンディを見つめると、「ベリル、なんだか見違えたね。今日は華やかだ」と笑った。
ベリルが持っている衣裳の中でも比較的華やかな白と薄青のドレスを着てきた。
好きな人に会うのに、おしゃれは欠かせない。

シンディとヒューゴは二年前の夜会で初めて会った。最初は格下の伯爵家の嫡男ということでさほど興味を抱かたなかったが、彼は熱烈に言い寄ってくれた。
明るく社交的で、話はおもしろい。賭けポーカーなんて刺激的なことをシンディに教えてくれ、時には若者だけで行う仮面舞踏会にも連れて行ってくれた。シンディにとって、ヒューゴは未知なる世界を教えてくれる人で、いつしか、ほかに変わりがいないほど、かけがえのない男性となっていたのだ。

「そのネックレスはどうしたんだい? シンディからもらったの?」

「え? あ、あのね」
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