No border ~雨も月も…君との距離も~
6章 君に…揺れる雨音
BIG4のバイトの無い日は、少しだけシンとの時間があって ガソリンスタンドのバイトを終える彼を 迎えに行けた。

電話の向こう側のシンの声は、なんとなく面倒くさそうに トーンが下がっていた。

「 スタンドの裏側の路地に車停めて 待ってて。」

「 どうしたの? 」

「 うん。ちょっと…色々。」

言われた場所に車を停めて、しばらく待つと 慌てて後部座席に 滑り込んできたシンは…

「 早くっ!!出してっ!! 」

と 私に指示した。

「 何?何なのっ? 」

そう言いながら、アクセルを踏む。

バックミラー越しに シンを見ると、頭を低くして 今きた道を 確認している。

誰もついて来ないことを 見届けると、前を向いて はぁ~と肩を撫で下ろした。

「 スタンドの向かいのファミレスに、ファンの女子高生が バイト始めたらしくて……。
まぁ…色々と大変で。」

「 そうなんだぁ~。やっぱりあのCM…予想以上に インパクトあったんだね。 」

「 なんかさっ…こっちがバイトしてる間、ずっと撮られてる気がして……。
参ったよ……。
動画、すぐにSNSにアップされてるのかなって。
俺、見せ物じゃないっつーの!
コーラ……こぼして テンパってるのとか 絶対撮られてた。(苦笑) 」

「 はっははっ!(笑) 」

私は、テンパる シンの顔を想像して 笑ったけれど
次の彼の言葉で、少し……。
少し…下がった。

「 だから、こうして紗奈といる所を見られると…何かと マズイっしょ。 」

………………。

「 ……………。 うん、そうだね。 」

私は、小さく答える。

あっ……そっか……。 マズイ……

私の 存在って。

シンにとって……マズイの?

マズイ存在…って。

どんなの…………?

ashのメンバーにさえ、私との事を言わないシンを思うと やっぱり……不安になる。

急に自分の存在が不安定になる。

鈴ちゃん以外、誰も シンと私の事を知らない。

誰かに、言いたいわけじゃなくて……
誰かに……認めて欲しいわけじゃなくて……

でも……少し、寂しくて。

シンだけを 信じている自分が……急に悲しい存在に感じる時がある。

シンにとって…私って、公認するほどの価値は無いのかな、なんて……大人じゃない考えに苦しくなる。

誰にも……知られちゃいけないの?

金沢の 田舎道。 ど真ん中で 私は、急ブレーキをかけた。

「 痛って~。 どうしたっ?頭、ぶつけたじゃん。」

シンは、驚いて不機嫌な私の顔を のぞき込んだ。

……今…胸がどうしようもなく 痛い。

きっと…シンは 女の不機嫌…なんて流しちゃうかもしれないけれど……

ちゃんと、理由がある。

好きになればなるほど 不機嫌になる時もある。

“ 匂わせ交際 ”の芸能人……ちょっとわかる……。

ちょっと、わかるよ…その気持ち。






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