No border ~雨も月も…君との距離も~
7章 愛情という刃
一緒にいられる時間が 嬉しくて……

はしゃぎ過ぎてた。

シンは、都会からの自由の延長のまま……私も、それが嬉しくて……

はしゃぎ過ぎてた。

ここは 東京や大阪と違って、灯りが少なくて

静か。

そんな空気に、私たちは 許されているような気がしていた。

はしゃぎ過ぎて…間違ってた。

木の葉は、森がないと……隠せない。

程なくして、シンのインスタは 炎上した。

2人でコンビニから 原付きに跨がる所を見られたり……

シンが、アップした “ おやすみ画像 ”が自撮りじゃないことが、バレたり……

ここまでくると、ファンの妄想は加熱して、有ること無いこと 色々な噂に 尾ひれ 背びれ……ウロコまでついた。

シンは、右手にしか……指輪はしない。
なのに、左薬指に していたのを見た……とか。

マネージャーとの関係は、どうなった?…とか。

私は、ギターの翔平君と 二股してる……など。

煙の無い所に、煙が立った。

シンは、事実じゃないことを 気にすんなっ …と軽く流そうとするけれど、

刺さるコメントもある。

「 ショック過ぎて……“ pure white you ” 聞けなくなっちゃいました。
シン君が 大好きだから…リアルはキツい。」

自分の存在が ashの曲のイメージを 勝手に傷つけてしまうことや、

シンのファンの子たちを 少なからず動揺させてしまっていることに…

罪悪感を 感じずにはいられなくて、それは容赦なく 胸を刺してくる。

痛くて…怖い。

一気に膨らむ、SNSの声たちが 追いかけてくる。

どこまでも、追いかけて…

見張られている。

愛情には…必ず 嫉妬がある。

私に 向けられる嫉妬の数は シンへの愛情…。

大好きが、大嫌いになるのは簡単。

シンのインスタは…ひどく荒れて 一晩で びっくりするほどの 人々のストレスの吐け口になっていた。

大好きが…大嫌いになるほどの愛情。

愛しいほど……憎い。

愛情という刃。

SNS上で 作り上げられたシンの彼女は ひどい。

可愛くないよね。笑

調子にのるブスっ 笑

匂わせんな。 腹黒 女っ!!

どうせ 遊ばれてるくせに 可哀想っ…

ただの、ビッチでしょっ!

闇女。さげまん。

私のことは、言われるのもわかるけれど……

悪口は、なぜか…シン本人にまで 飛び火するから驚く。

言葉にするのも 下品な文句で 愛情はシンを叩いた。




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