オジサンに恋しちゃダメですか
第10章 おまえには負けた
社会人になって初めて、トイレの中で、泣き崩れた。

恋に現を抜かしてるんじゃないかって、課長に言われて、言い返せなかったのが、悔しかったからだ。

これでも、仕事は真面目にやってきたつもりなのに、少しのミスも、恋愛のせいにされるなんて。

悔しくて、たまらない。


「言われるのも、仕方ないんじゃない?」

慰めてくれるものだとばかり思っていた春乃にそう言われ、引っ込めた涙も、またダダ洩れしそうだ。

「振られてからの方が、盛り上がってたんじゃないの?」

「そうかも。」

春乃は、私を抱き締めながら、頭をよしよししてくれた。

「こうなったら、仕事で挽回しなきゃね。」

「うん。」


そして、運よくそのタイミングが来た。

課長のプレゼンが通って、その後の仕事が、必要となってきたのだ。
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