クールなアイドルの熱烈アプローチ
堀原が事務所を出ると、そこにはいるはずのない人物がいた。

「貴方は……」

「堀原さん、お久しぶりです。
大堂のマネージャーの蛯名です」

「今更何しに?」

「あの、今回はお話をさせて頂きたく……」

どこか挙動不審な態度を取りながらも目は何かを必死に訴えている蛯名に堀原は眉を潜めつつ、大堂の関係者と話を聞く義理はないと無視して帰ろうかと思ったその時、周囲にちらほらといた女性が急に色めき立った。

「ねえ、あの人格好良くない?モデルかな?」

「どことなく秋村陽菜に似てる気もするけど……」

その漏れ聞こえる会話に思い当たる人物がいる堀原は頭痛がするかのように額に手を当てた。
一つの足音が近づいてきて、二人の近くで止まる。
堀原がゆっくり足音の主に目を向けると……。

「その話、俺にも聞かせてくれない?」

この場にそぐわない明るい口調。
口許には笑みを浮かべていながらも目は好戦的な表情をした朝陽が仁王立ちしながら挑発的に二人を見ていた。
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