クールなアイドルの熱烈アプローチ
秋村陽菜、身長170㎝、栗色のミディアムヘアで小さい顔にくっきり二重の大きい瞳が印象的。
とある雑誌の『街角で出会った次世代モデル』特集の中で、読者からの投票で圧倒的な人気で見事１位を獲得し、瞬く間に人気モデルになる。

女性や男性、幅広い年齢層に支持されているがテレビなどのメディアにはまったく姿を現さない。
非公表にされてる部分が多く、巷ではミステリアスな女性モデルと一目置かれている。

「……で、特集記事が出るような人気絶頂中のモデルがそんな地味な格好して何やってんの？」

「うぅ……この格好の方が落ち着くんだもん。
ていうか、その紹介文読まないでよー」

リビングのソファーに座り先程まで被っていた帽子をテーブルの上に置くと、陽菜は近くにあったクッションに顔を埋めた。

黒渕メガネに真っ黒なロングヘアー。
服装はとてもお洒落とは言い難いファッションで、おどおどと視線をさ迷わせる様はまるで大きな敵を前にして怯えた小動物のようだとよく言われた。

「ほら、家なんだからその伊達メガネもカツラも取る！」

「ああっ！私の癒しアイテムっ！！」

パパッとメガネとカツラが取られると、隠れていた栗色のミディアムヘアと大きな瞳が現れた。

「おかえり、陽菜姉」

「……ただいま、朝陽(あさひ)」

変装グッズを取ったその姿は眉を八の字にさせて困ったように笑う、人気モデルの秋村陽菜本人だった。

陽菜は半年前にたまたま街角で声をかけられた。

『雑誌の特集コーナーで使いたいので、一枚だけ撮らせてもらえませんか？』

陽菜は必死に拒否したのだが、一緒にいた朝陽がおもしろがって勝手に承諾して撮られた一枚。

その一枚が陽菜の人生を大きく変えたのだった。
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