同じ開発部に属しているのに、図書室勤務の彼女と下っ端研究員の俺は、嫌になるほど接点がなかった。


夏にまた同期会があったが、やっぱり俺は強気な女子に囲まれて、マリちゃんは端っこで食べまくっている。

美味そうに、幸せそうに食べる姿。

楽しそうに友達と話す姿。


俺があんまり見ているからか時々目が合うんだけど、彼女は俺を認識してはいない様子。

でも時々合う瞳は黒目がちの綺麗な目。


やべー、俺、やっぱりあの子好きだ。


あの瞳に俺を写して欲しい。


…もっと近くにいきたい…。


そう自覚した俺が、やっと彼女と話す機会を得たのは秋も深まってきた頃。


上司である主任研究員の増井さんに使いを頼まれて、俺は初めて彼女のお城に入った。


図書室のドアを開けると、カウンターの向こうに座っていた彼女がこちらを向いた。


近寄って行くと、僅かに口元を綻ばせて、
「こんにちは」
と挨拶してくれる。

「こんにちは」

俺も僅かに口角を上げて、カウンター越しに彼女を見下ろした。


初めてちゃんと目が合った…。