契約新婚~強引社長は若奥様を甘やかしすぎる~
5.新婚生活は純和風の邸宅で

それから二日後の、日曜日の昼下がり。

完全オフモードで昼過ぎに目を覚まし、部屋着のまま自室のある二階から降りてリビングに入ると、そこには信じられない人物がいた。

「おはよう、結奈。ちょっと寝すぎじゃないか?」

「あ、彰さんがなぜここに……!」

ソファでくつろいでいるのは、一昨日ぶりに会う彰さん。

上品な色気漂う和服姿ともクールで知的な印象のスーツ姿とも違う、タンクトップにシャツを羽織り、下はジーンズというラフな私服姿の彼。

で、なぜ我が家にいるの……?

リビングの入り口で棒立ちになっていると、キッチンの方から朗らかすぎる母の声が近づいてくる。

「なぜって、あなたたち夫婦でしょ? 結奈を迎えに来たに決まってるじゃないの」

言いながら、母は手にしていたお盆から、彰さん用と思われるお茶とお菓子をテーブルに置く。それを目にした私は、カッと目を見開いた。

あ、あれは……!

私はテーブルに近寄り、小さなお皿に載せられた透明なお菓子を凝視した。

この、ふるふると揺れる透明なゼリー状の膜に餡子がつつまれた、涼し気な和菓子は……!



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