上司と私の偽恋愛 ※番外編追加しました※
向き合うこと


タクシーを降りてコンビニの前で立っていると私の目の前に暖かいココアが差し出された。


「はい! あったかいよ」


目の前のココアを受け取ると雅は優しく微笑んで私に抱きついた。

「亜子大丈夫?」

雅の声に我慢していた想いが涙となって流れていく私を見て「よしよし」と言いながら私の頭を撫でてくれた。


あの時、結城課長のマンションを出た後、私は雅に電話していた。
家に1人でいたくないのもあったけど、黙って帰ってきたことで結城課長が私の家まで来るような気がしたからだ。
このまま終わるわけないのは分かっているけど今話すのは辛い。


雅は私からの電話で半同棲している彼を帰し私を迎えにきてくれたのだ。

「入って。亜子来るのひさしぶりでしょ!」

「……うん。おじゃまします」

さっぱりした性格の雅らしく部屋の中は余計な物がなくていつ来ても綺麗にしている。

「テキトーに座ってて」

雅がリビングに敷いてあるラグの上を指で指して私は言われるままその場に座らせてもらった。
仕事の時もそうだけど、どんな時でも雅は手際がよくて今もパパッと用意してホットコーヒーとチョコレートを私に差し出してくれた。

「コーヒーはノンカフェインだから安心して!」

雅も自分のコーヒーカップを片手に持って向かい合う形に座りしばらく2人して何も話さずにいた。


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